半音と全音

半音が \(2^{\frac{1}{12}}\) 倍の周波数違いだと言うことって、どれくらいの方がご存知なんでしょうか。

ピアノの鍵盤において、隣り合う鍵盤どうしが半音、間に1つの鍵盤を挟んでいれば全音というのは、聞いたことがあったのですが、鍵盤の左の方と右の方では明らかに音の高さが異なるのに、同じ半音・全音という言葉で評価できるのかさっぱりイメージがついていませんでした。

なぜどの高さでも「同じ半音」なのか?

この疑問は、音楽の仕組みを理解する上でとても面白いポイントです。 結論から言うと、人間の耳は、2音間の周波数の「差(Hz)」ではなく、「比率(倍)」を音程として認識しているからです。

鍵は「差」ではなく「比率」

音楽の基本的なルールとして、「1オクターブ上がると、周波数はちょうど2倍になる」という決まりがあるんだそうです。 例えば、ピアノの真ん中の「ラ」の音(A4)が440Hzなら、その1オクターブ高い「ラ」(A5)は2倍の880Hzです。

現代のピアノなどでは「十二平均律」と呼ばれるルールが使われており、1オクターブをさらに12個の音に分割して、隣り合う鍵盤どうしの周波数比が均等になるように作られています。

そのため、半音1つ分の周波数の倍率、すなわち、隣り合う鍵盤どうしの周波数の倍率は、常に \(2^{\frac{1}{12}}\)倍(約1.059倍)となります。半音2つ分の全音なら、周波数の倍率は \(2^{\frac{2}{12}} \)倍です。

具体的な数字で比較

この「差」と「比率」の違いを、ピアノの「ラ」の音で具体的に見てみましょう。

このように、

と、周波数の「差」は全く異なりますが、どちらも周波数比は「\(2^{\frac{1}{12}}\)倍(約1.059倍)」で全く同じです。

まとめ

人間の耳は、この「同じ比率」を「同じ音程(音のへだたり)」として認識します。 だからこそ、ピアノの左側で弾く半音も、右側で弾く半音も、同じ「半音」として感じることができ、同じ名前で呼んでいる、というわけなんですね。

by lwgena